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Thursday, November 3, 2022

「世界お茶まつり」のこれから 消費者目線の改善重要【令和の静岡茶⑲/第5章 茶文化新考③】|あなたの静岡新聞 - あなたの静岡新聞

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 お盆の上に並ぶのは、ストレートとミルクティーの静岡県内産和紅茶に、崎陽軒(横浜市)の中華菓子「三文治」。10月に静岡市駿河区で開かれた世界お茶まつり2022秋の祭典の茶会で、煎茶道黄檗弘風流が担当した茶席は定員いっぱいでにぎわった。こはく色の紅茶をふるまった高鳥真堂家元は「お茶の楽しみ方の紹介を通して県内生産者を応援したかった。気軽に茶席を体験してもらう機会となった」と振り返る。

煎茶道黄檗弘風流が担当した茶席。和紅茶の味わいを紹介した=10月22日、静岡市駿河区
煎茶道黄檗弘風流が担当した茶席。和紅茶の味わいを紹介した=10月22日、静岡市駿河区

 「世界最大級の茶の祭典」とされるイベントは「文化」「産業」「学術」の三本柱で構成する。
 メインとなる茶の総合見本市には約130のブースが出展した。水出し茶用のボトルや抹茶シェーカーなどを展示した吉村(東京都)静岡営業所の斎藤潤所長(48)は「お茶好きの消費者に新様式の茶器を使ってもらうきっかけになった」と実感を込めて語る。
 世界各国の喫茶様式体験コーナーや各種講演会もにぎわい、開催した20~23日の来場者数は11万8千人と3年前の前回を3千人上回った。出展者増加に向けた県お茶振興課世界緑茶班の若手職員による創意工夫や出展事業者のアイデアの成果で、本県から多面的に茶文化を発信する意欲を示すことができた。
 お茶まつりは大規模な催しである一方、各プログラムの内容は出展・企画事業者の手作りによるところが大きい。テーマに縛られず、自由に発信できる半面、全体のまとまりに欠く面は否めない。
 茶に関する国際情勢を考える世界緑茶会議では、日欧米の茶業者が顧客ニーズや需要開拓に向けた個性的な提案を紹介しつつ、充実した議論を展開した。ただ、拡大基調にある日本茶輸出の方向性、地政学的リスクの高まりなど最近3年間で一変した国際情勢に関する言及は少なかった。県内茶業者は「3年間を総括し、これからの道筋を示す機会にしてほしかった」と語る。
 元県茶業試験場長でお茶まつり実行委員などを歴任した小泊重洋さん(82)は、まつりの発展に向けて消費者目線で従来の仕組みを見直す「デザイン思考」の重要性を説く。「既存の枠にとらわれず業界の流れを変えるきっかけとしてほしい」。3年後のまつりに向けた試行錯誤は始まっている。

 世界お茶まつり 日本茶の魅力を世界に向けて発信する催しで、県が事務局を務める実行委員会が主催する。2001年以来3年に1度、春と秋に分けて開かれ、多様な緑茶の楽しみ方を伝えたり、各国の喫茶風景を紹介したりして海外からも来場する。

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