ヨーロッパ出身の教授が、日本へ来て教え始めて戸惑ったこととは(写真:IYO/PIXTA)
欧米ではある役職などに付随する権力、すなわち「地位の権力」が重視される一方で、日本では上司や部下などの相互の関係性によって行動が変わる「情緒的権力」がより組織を支配していると前編で説明した(日本人が「上司に弁当頼まれたら平気で買う」なぜ)。本稿では、こうした欧米における権力形態の違いが、いかにリーダーシップに影響するかを説明したい。
日本とヨーロッパ「教え方」の違い
権力構造は、リーダーシップの基盤である。これはリーダーとしての行動に強く影響し、異文化間では誤解を招くこともある。実際、私も2004年に日本で教鞭をとるようになって、この教訓を学ぶことになった。
筆者がかつて在籍したウィーン経営大学では、若い教授は教え方について多くの訓練を受ける必要があり、教授と学生の関係を専門的に管理することが非常に重要であることを学んだ。教授の責任は教えることであり、学生と個人的な関係を築くことではない。すべての教育と採点は公平でなければならず、学生間に差をつけることは許されない。
これは、私が初めて日本の教室に足を踏み入れたときの態度でもあった。講義が終わればすぐに教室を離れた。質問があれば、学生は私の勤務時間中に訪ねてくればよかった。
しかし、数週間後、ある日本人の同僚が私に声をかけてきて、学生に「もっと親切にしないと」とアドバイスしてくれた。私は「親切にしている」と答えた。「学生全員に敬意をもって接しているし、教えることにも真剣に取り組んでいる」。私はこの仕事を始めたばかりだったので、「親切ではない」と言われ、とてもショックを受けていた。
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