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Wednesday, March 20, 2024

お茶と本の世界へ Gifuto:地域ニュース : 読売新聞 - 読売新聞オンライン

sagutgu.blogspot.com

 美濃白川茶の産地である岐阜県東白川村の県道脇の古民家を改修し、日本茶を楽しみながら本の世界に浸れるブックカフェとして、2022年6月にオープンしました。読んできた本を中心に、文芸、哲学、人文、絵本など、現在は約2500冊の古本を取りそろえ、販売もしています。

 千葉県出身で、大学卒業後、東京都内の広告制作会社でコピーライターの仕事をしていました。19年にこれまでの人生を見つめ直し、地域おこし協力隊として村に赴任し、美濃白川茶の製造、販売に携わりました。

 本好きもあって、読書の時に合う日本茶という発想から「文豪ティーバッグ」を開発し、古本とともにウェブサイトで販売を始めました。3年の任期終了後に実店舗を構えました。古書店を含めて周辺に書店がなく、自分でやろうと思い立ちました。

 本は生きていく中で色々なことがあった時に、答えやヒントがあることが多々あります。実際に私も本に救われた経験があります。今も生きていく指針を求め、もっと人生を知りたいと本と向き合っています。

 オススメの3冊は、「生きていると世の中色々あるけれど、読むともうちょっと頑張ろう」と勇気が出る本を選びました。

 「 麻雀マージャン 放浪記」は、戦後の何もないところから主人公が様々な出会いを重ね、だまされ、傷つきながらも独りで生きていく話です。ピカレスクロマン(悪漢小説)として高い評価を得ていますが、主人公の成長物語として面白く読め、マージャンを知らない人にもオススメです。真剣な生き方に勇気をもらえます。

 次は「カフカ短篇集」です。カフカは中学生ぐらいの頃に「変身」から入ってのめり込みました。原文で読みたいと思って大学でドイツ語を学び、チェコにある墓をお参りしたほどです。起承転結の世界とは違う面白さがあり、よくわからないのに心に残るものがあります。こういうことを考えていた人がいたんだと、読むと勇気が出ます。短編の方がおとぎ話みたいで、すんなり読めて面白いと思います。

 もう1冊は、岡倉天心がお茶を切り口に東洋の精神文化を英語で紹介した「茶の本」です。西洋の物質主義への批判があり、お茶だけでなく生き方にも通じる深みのある本で、読むと「頑張ろう」と思えます。お茶に出会っていなかったら読んでいなかった本です。原文の文章をデザインした美濃焼の湯飲みを作り、店で使っているほか、販売もしています。

 贈り物のギフトと「岐阜とともに」の思いを込めて名付けた「Gifuto(ギフト)」の店内は、日々の心配事などを忘れ、より深く考えられるよう静かな空間を提供しています。ぜひ足を運び、本と日本茶のひとときを過ごしてください。(店主 野村啓)

オススメの3冊

「麻雀放浪記1青春篇」阿佐田哲也(著) 文春文庫

「カフカ短篇集」フランツ・カフカ(著)池内紀(編訳) 岩波文庫

「茶の本」岡倉天心(著)浅野晃(訳) 講談社バイリンガル・ブックス  Gifuto(ギフト)  岐阜県東白川村五加1546。古本のほか、日本茶のティーバッグや古民具も販売する。営業は金~日曜の正午~午後7時。問い合わせは、 ホームページ からメールで。

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