「スマートフォンは半導体の塊です」
伊丹市立生涯学習センター(ラスタホール)で1月に開かれたサイエンスカフェ。この日は、「三菱電機高周波光デバイス製作所」(伊丹市)から招いた2人の技術者が講師となり、半導体が生活に欠かせない素材であることを解説。「インターネットに不可欠な光海底ケーブル網は全世界で地球30周分」「トンガの火山噴火ではケーブルが損傷して被害確認に時間がかかった」などと、世界を取り巻くネット社会に話題を展開させた。
興味津々に耳を傾けていた参加者からは「日本のデジタル化の遅れの原因は?」「2030年までに日本が半導体業界でトップになるためには?」などの質問が相次ぎ、積極的な議論で締めくくられた。
「科学をもっと身近に楽しめる場を」――。市民団体「サイエンスカフェ伊丹」が2008年6月から月1回のペースで開いているカフェは、2月で123回目を迎えた。「はやぶさ2」「iPS細胞」「ナメクジの生態」などをテーマに大学教授や研究員、技術者らが講師を務めてきた。参加者の定員は28人。毎回キャンセル待ちが出る盛況ぶりだ。
代表の片山実紀さん(57)も、電機メーカーの元研究者。「科学の楽しさを研究者だけのものにするのはもったいないでしょう?」
片山さんは大学で工業物理化学を専攻、二次電池の研究にのめり込んだ。卒業後は、電機メーカーに就職して半導体の研究に携わり、家庭の事情でおよそ15年で退職した。「科学と離れてしまってさびしい」。そう思っていた頃、地域の活動を通じて知り合った大学教授から、イギリスやフランス発祥の「サイエンスカフェ」の運営を勧められた。
科学者と市民がコーヒーなどを飲みながら語り合うという活動で、片山さんは「また科学に触れることができるのがうれしい」と、すぐ行動に移したという。
参加者がスタッフにもなり、半年に1度、お茶を飲みながら「次は誰を招こうか」「この間、聞いた講演会の話が面白かった」などとテーマを決めるが、片山さんは女性の講師を招くよう意識する。「理系や研究者といえば男性というイメージを
半導体がテーマだった1月のカフェには親子連れの姿も。中高年の参加が多いなか、母(50)に連れられて参加した大阪府枚方市の小学5年生(11)は「う~ん……難しかった」と苦笑い。「でも家で周期表を勉強しているので、知っている元素の名前もあった。少し難しかったけど、面白かった」
そんな音葉さんの言葉に「『リケジョ』もどんどん生まれればいい。科学に親しむのに、このカフェがきっかけになれば、こんなにうれしいことはありません」とほほ笑む片山さん。
新型コロナ禍でなければ7人1組でテーブルを囲み、お茶やお菓子を楽しみながら語り合うという。
高校時代は、化学や物理の授業でよく睡魔に襲われたが、こんなカフェのような雰囲気であれば、知的好奇心をくすぐられたかもしれない。
現在は3月28日に2部構成で行われる124、125回の予約を受け付け中。ラスタホールの専用ページ(https://www.lustrehall.com/lecture_category/lecture-course/)から申し込む。
(礒永博)
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