焼津市柳新屋の左官業増田龍二さん(69)が、住宅の内壁向けに、お茶をしっくいに混ぜた独自の塗り壁材「お茶しっくい」を開発した。お茶としっくいが共に持つとされる抗菌性を生かす狙い。藤枝市の住宅リフォームで初施工した。 (松本利幸)
しっくいは城や蔵にも使われ、調湿作用が知られる。水分を含むと強アルカリ性を示し、微生物の繁殖を抑えるといわれる。お茶もカテキンなどの成分に抗菌性が期待できるが、建材への利用は珍しい。
増田さんは八年前、茶農家から住宅の内壁にお茶で富士山を描いてほしいと依頼を受け、しっくいに茶葉を練り込んで描いた。それを機に、塗り壁材へのお茶の活用を研究。昨年は古民家の土間の仕上げ材に茶の茎を混ぜることを施主に提案し、採用された。
今回開発したお茶しっくいは、しっくいに三つの仕上げ材を配合。湿気の吸収を高めて強度を保ち、表面に柔らかさも出るように調合した。これに人が飲むのと同じように茶葉から浸出したお茶を混ぜて練ることで、昨秋、完成させた。
価格はしっくいのみの仕上げと同程度の一平方メートル当たり五千円を設定し、普及しやすくした。
藤枝市の住宅リフォームで、お茶しっくいの施工を促すと、依頼した主婦(64)は「体に良いのを使いたい」と快諾。リフォームは一階の一部となる十二畳の居間、玄関・廊下、個室の三カ所で、内壁約七十五平方メートルを、一月下旬から二月上旬に仕上げた。
壁は十日ほどで乾いて薄クリーム色に落ち着き、主婦は「ぜんそくの持病があり、体にも良い影響を期待したい。色合いは好み通り」と満足げ。増田さんは「こてを軟らかく改良してなでるように塗り、見た目の柔らかさを出した。お茶しっくいをほかの左官にも広げたい」と話した。
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