■茂木雅世のお茶でchill out!
少し前でこそ、“固い”“難しそう”と言われることも多かったお茶。ここ数年でそのイメージは少しずつ変わっているように思う。
「あなたの好きなように、自由にお茶を楽しんでください」と背中を押してくれるお茶のお店も続々と登場し、“茶沼”にはまる若い世代も、以前に比べて、増えているようだ。
それと同時に、人生のターニングポイントでお茶の魅力に改めて気が付き、お茶を伝える側になったという人も少なくない。
フレッシュな感覚でお茶と接しているからこそ、最初に感じた“違和感”にも向き合い、今までの当たり前もしなやかに変化させていく。
自らを「SNSで見るようなていねいな暮らしに憧れる雑な人」と表現する岩崎麻須美さんもそんな新たな時代のお茶の伝え手の一人だ。
“お茶屋さん”ではない「お茶と、暮らしと」
麻須美さんは、知識や経験もほぼゼロの状態からお茶の勉強を始め、今年5月に「お茶と、暮らしと」という暮らしを提案するブランドを立ち上げた。あくまでも「お茶屋さん」ではなく、「暮らしを提案しているお店であり、その中にお茶がある」そんな位置づけだという。
麻須美さんの実家は、岩崎恭三商店という静岡の茶問屋。お茶に関していえば、身近すぎる存在だっただけに、以前はほとんど興味を持っていなかったそうだ。
しかし2年前、妊娠出産をきっかけにガラリと一転した。
ちょうど世の中はコロナ禍に入った頃。実家の茶問屋もそろそろたたもうかという話も出始めていた。
産まれたばかり男の子の育児に奮闘する日々を過ごしていた麻須美さんだったが、そんな現状を目の前にし、「私がやらなければ」と奮い立った。授乳をしながらパソコンに向かい、寝かしつけた後に猛勉強を重ね、それまでは、卸売りがメインだったという岩崎恭三商店の自社ブランドの立ち上げを模索しはじめた。
お茶を良く知らなかったから“見える”こと
「お茶と、暮らしと」には、麻須美さん自身がお茶に対して最初に感じた「よくわからない」「難しい」といった素直な感覚が、随所に反映されている。
例えば、お茶を購入する際、時々目にする味わいを表現したチャートも、お茶の知識がほとんどなかった時には、よくわからなかったという。そこで、もっとわかりやすく手に取ってもらうためにと、暮らしのあらゆるタイミング、時間で選ぶという方法を採用した。
“おはよう”をクリックすると、朝に飲みたくなるお茶やおすすめのお茶アイテムを、“おつかれさま”をクリックすると家族団らんの時に楽しめるお茶やお菓子を一覧で知ることが出来る。
贈り物にもぴったりな高級抹茶やほうじ茶のバスクチーズケーキも、寝かしつけの後や忙しい時などにお皿やナイフを出さなくてもワンハンドで食べられるようにと、スティック状にし、小分け包装にこだわった。
お茶の時くらい深く考えずに過ごしてもらいたい
「お茶と、暮らしと」のお茶のパッケージの説明書きに目を通すと、まるで地元のお茶好きな友人がコツを教えてくれているように、親しみやすく、ほっこりする。
ぼ~っとしながらお茶を淹れたとしても大丈夫なように、難しい言葉はなるべくわかりやすく。お茶のことをあまり知らない人が、「棒茶」や「深蒸し茶」という言葉を聞いた際に、浮かびそうな疑問への答えも優しく添えられている。
「みんな毎日忙しいし、もう十分頑張っているから。お茶の時くらい深く考えずに飲んでもらいたい」そんな麻須美さんの優しい想いが、「お茶と、暮らしと」の柔らかなムードをつくりだしているのだろう。
頑張らなくてもお茶の時間を楽しむことが出来るし、雑でも大丈夫。
「お茶と、暮らしと」のように、そんな風に思わせてくれる存在は、これからお茶を知りたいと思う人にとって心強いに違いない。
様々な目線からうまれたお茶のお店やイベントなどが各地で盛り上がりを見せる今。今までコーヒーや紅茶などを楽しんでいたという人達が、お茶の良さや魅力に触れる機会も、ひと昔前よりも格段に増えている。「これなら飲みたい」「これだったらやってみたい」とそれぞれの暮らしにフィットするお茶の楽しみ方を見つけてみてはいかがだろうか。
お茶と、暮らしと → https://ochatokurashito.com/
【著者プロフィール】
茂木雅世 もき まさよ
煎茶道 東阿部流師範・ラジオDJ
2010年よりギャラリーやお店にて急須で淹れるお茶をふるまう活動を開始。現在ではお茶にまつわるモノ・コトの発信、企画を中心にお茶“漬け”の毎日を過ごしている。お茶×音楽ユニットYuge〻のメンバーとしても活動中。
趣味は暮らしの中に取り入れやすいサステナブルアイテムを探求することとバスケ観戦。
Instagram:https://www.instagram.com/moki98per/
Twitter:https://twitter.com/ocharock
からの記事と詳細 ( お茶を淹れる時くらい何も考えたくない…そんな想いに応える日本茶ブランド「お茶と、暮らしと」の魅力| - @DIME )
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