南米、アフリカなど温暖な気候帯に分布するパッションフルーツ。その実は甘酸っぱく、栄養も豊富なため、ジュースなどに加工されてきた。関市の北東部に位置する武儀地域では、数人の生産者で組織する「関むぎパッションフルーツ組合」が、実はもちろん、普段は無駄になってしまう葉の部分をお茶として生産している。地元の特産品で、かつ国連の持続可能な開発目標(SDGs)に通じる精神が込められた逸品で、昨年から関市のふるさと納税返礼品に加わった。
組合のパッションフルーツ栽培への挑戦は、11年前、地域の耕作放棄地の有効活用策としてスタートした。冬には霜が降りる同地域での栽培は困難を極めたが、先進地の営農組合から農業指導を受けたり、新しい品種を試したりと試行錯誤し、収量を安定させた。またパッションフルーツの主要な栽培地域並みに気温が高くなる夏場の1期作に絞ることで、全国的にも珍しい露地栽培も実現させた。栽培を指揮した組合の古池裕美代表(72)は「(関市内で育てていることを)最初は驚かれたが、今では地域が誇る農産品になった」と胸を張る。
栽培が軌道に乗り始めた数年前、古池代表は夏場の実の収穫時にふと考えた。「実は商品になるが、残った葉っぱがもったいない。何か使えないものか」。農薬不使用で、有機肥料のみで育てているため、葉も安心安全な農産物となる可能性があった。調べると、世界ではパッションフルーツの葉や花を使った紅茶が生産されていることを知り、美濃白川茶の製法で日本茶に加工するアイデアが浮かんだ。
製品化は長尾製茶(加茂郡白川町坂ノ東)と共に進めた。パッションフルーツの葉を蒸し、裁断、焙煎(ばいせん)する基本の工程を踏襲しながら、最後の火入れを二度焙煎にし、風味をさらに引き出すひと工夫を加えた。完成した茶葉は、ほのかに甘い香りが楽しめるほか、ビタミンAやビタミンC、葉酸などが含まれている。
茶葉は11月に完成するため、まさに今が新茶を楽しめる時期でもある。古池代表は「夏場だけの実に比べて、加工品の茶は安定的に出荷できるのも良い。関市でパッションフルーツを生産している意外性とともに、地域の魅力を全国の人たちに知ってもらいたい」と願いを込めた。
からの記事と詳細 ( パッションフルーツの葉っぱをお茶に 美濃白川茶の製法、ほのかに甘い香り - 岐阜新聞 )
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