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Saturday, November 28, 2020

お茶だけではない白川町 長寿の町、若い力で活気 - 岐阜新聞



◆東座でおばけ屋敷、「林業女子」町産ブランド守る

 5月。加茂郡白川町の各地区にある茶畑は、もえぎ色に染まる。美濃白川茶の産地である町周辺は国内の茶主産地の北限とされ、現在は年間約4万キロを販売する。この時期になると観光客でにぎわう町だが、近年は人口が減り続け、2020年度は8千人を割り込んだ。そんな中、若者や移住者による町おこしの試みが始まり、伝統芸能や豊かな自然を生かした「温故知新」の動きが新たな活気を呼び起こそうとしている。

 北東部の黒川地区には、1889(明治22)年に造られた芝居小屋「東座」がある。入り母屋造りの重厚な建物は、一度は老朽化により閉鎖されたが、東座芸能保存会(現東座歌舞伎保存会)をはじめとした地域住民の活動や寄付などによって1991年に復活。現在は六代目中村勘九郎さんが名誉館主を務める。

 芸術家に滞在、創作の場を提供する「アーティスト・イン・レジデンス(AIR)」。13年前に名古屋市から黒川に移住した塩月洋生さん(47)は、一般社団法人「アートアンサンブル白川」を立ち上げ、妻の祥子さん(43)とAIRを推進しており、東座で開いた「おばけ屋敷」は話題を呼んだ。伝統の小屋を使ったおばけ屋敷には、愛知県立芸術大学の学生や住民も協力してオブジェなどを制作。塩月さんは「住民が守ってきた東座に新しい形を取り入れて発信したい」と語る。

 面積の87%を山林が占める町の基幹産業は林業と農業。飛騨川支流の黒川沿いに車を走らせると、切り出したヒノキやスギが無数に並ぶ壮観な光景が目に飛び込んできた。三川地区の東濃ヒノキ白川市場は、こうした原木の集積地だ。ここで働く地域おこし協力隊の三宅佳奈恵さん(34)=同町中川=は、親方の下で木を切り、作業道を整備する「林業女子」。町林業担い手育成協議会の事務局も務め、若手とも交流している。

 林業の担い手は高齢化が進み、市場全体の取扱量は増えているものの町産材は伸び悩む。「新たに林業をやりたいという人はなかなか出てこない」と三宅さんは苦笑いするが、来年、新卒の「林業女子」が市場に採用される。楽しみに待つ三宅さんは、協力隊の任期後も町に残り木材ブランドを守っていくつもりだ。

 町内は、飛騨川につながる佐見川、白川、黒川、赤川が扇状に広がり、透き通った水と、せせらぎの優しい音がどこからでも聞こえるのが印象的。飛水峡や佐見川峡の紅葉、雪化粧の田畑など、風景は季節によって姿を変える。

 河東地区には、そんな自然を丸ごと生かしたボルダリングエリアが誕生した。高谷裕一郎さん(43)=同町黒川=が仲間を集めて結成した「白川ボルダー開拓チーム」が、飛騨川沿いの岩場をレジャーゾーンに変えた。全国で増える愛好者の誘致につなげる。

 若い世代の活躍が見られるが、「長寿の町」でもある。9月時点で100歳以上の高齢者は20人おり、人口10万人当たりで見ると県内市町村で断トツの1位。2015年国勢調査では人口の43%が65歳以上で、同じく県内1位。一方、19年度1年間の1人当たり医療費は6万3941円で、これは国や県全体の数値より低い。

 400年以上続く茶栽培の歴史と豊かな自然が「高齢化しても元気な町」を築いたのだろうか。町の広報担当者に聞いてみた。「山や田畑の手入れなど、外に出て動く機会が多い。あと、お茶を飲む習慣も要因かな」

◆観光マップにはない魅力 横家敏昭町長

 黒川、切井にまたがる標高1050メートルの鹿遊び山。子どもの頃、この山から見た名古屋市の夜景の美しさに驚いた。かすみ網猟は禁止になっていたが、山には鳥屋もあった。

 観光マップに載っていないが、私にとって宝物の場所。今は、この山に造った小屋に泊まって景色を眺めることが息抜きになっている。ここがあるからこそ、学生生活を終えて古里に戻ってきた。

 昨年、佐見川の鮎が高知県で開かれた「清流めぐり利き鮎会」で準グランプリを獲得した。川の水がどれほど美しいか証明できた。昔は川でたくさん遊んだ。アジメドジョウがいっぱいいて、よく魚捕りをしたが、川の美しさは今もそのままだ。

 町の人は、自慢できる場所をそれぞれ持っている。地歌舞伎や貴重な山菜「コシアブラ」を味わうなど、町に来ることで初めて分かる魅力をみんなに体験してほしい。

【白川町のアラカルト】

▽面積 237.9平方キロ(11位)

▽人口 8392人(2015年、36位)

▽総生産 242億円(2017年度、39位)

▽1人当たりの所得 239万8000円(同、42位)

▽お茶の作付け経営体数 185(2015年、1位)

▽同じ名字 (多い順に)①安江②藤井③今井(電話帳調べ)

▽ゆかりの有名人 金石昭人(町出身・元プロ野球選手)、尾崎秀実(ジャーナリスト、ゾルゲ事件で処刑、父親が町出身)、岡本一平(漫画家、終戦直前に白川町へ疎開、芸術家・岡本太郎の父)

※順位は県内市町村での順位

カテゴリ: 動画 政治・行政



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