コーヒーの苦みの成分が甘味感覚を高める
コーヒーの故郷はアフリカのエチオピア、チョコレートの原料であるカカオの故郷はラテンアメリカのメキシコだ。大西洋を間に挟んで遠く離れていた二つの食品は、十字軍戦争と大航海時代を経てヨーロッパで遭遇した。
しかし『嗜好品の歴史』の著者のウォルフガング・シベルブッシュ(Wolfgang Schivelbusch)によると、初めは割高なチョコレートは伝統貴族層、もう少し安いコーヒーは新興プロテスタント中流階級が主に楽しんだ。チョコレートは旧体制、コーヒーは新体制の象徴の嗜好品だったわけだ。20世紀のグローバル化とともに、今では二つの食品を一カ所でいつも一緒に楽しむ世の中になった。
当初はよそよそしかったチョコレートとコーヒーは、愛好家の間で相性ひったりの関係の嗜好食品として通じている。ダークチョコレートを食べる際にコーヒーを添えて飲めば、チョコレートがさらにおいしく感じられるからだ。理由がなにか?
デンマークのオーフス大学の研究チームは、コーヒーと甘味の関係を調べる実験をした結果、コーヒーが味覚の甘味感受性は高める一方、苦味の感受性は低下させることが分かったと明らかにした。研究チームは156人の実験参加者を対象にコーヒー(エスプレッソ基準)を飲む前後に嗅覚と味覚作用にどのような変化が起きるのか調べた。実験の結果、嗅覚はコーヒーを飲む前後で何の変化もなかった。一方、味覚では明らかな差があった。実験参加者らはコーヒーを飲んだ後に甘味に少し敏感になり、苦味には鈍感になった。これは苦味が甘味の感知能力を抑制すると知られていたこれまでの研究とは異なる結果だ。例えば以前の研究では、コーヒーに入っているカフェインとキニーネが甘味受容体の活性を抑制することが明らかになったことがあると研究チームは紹介した。
もしかしたらコーヒーのカフェインが原因だろうか?研究チームはカフェインを除去したデカフェでも同じ実験をした。しかし結果はまったく同じだった。カフェインとは関係がなかったのだ。
研究を率いたアレクサンデル・フィエルシュタット(Alexander Wieck Fjaeldstad)教授は「おそらく苦味を出すコーヒーの成分がこのような効果を起こすと見られる」と述べた。これはダークチョコレートをコーヒーと一緒に楽しむ場合、チョコレートがさらに少しやわらかに感じられる理由を説明してくれる。研究チームは、人間の五感はお互いに影響を与え合うはずだが、甘味と苦味がこのような密接な関連があるとは知られていなかったと明らかにした。研究チームは今回の研究結果が、糖尿があったり肥満である人々のためのメニューを構成する際の参考資料として活用できると期待した。
この研究結果は科学ジャーナル『Foods』に4月14日付で掲載された。
クァク・ノピル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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