浜松市天竜区二俣町を拠点に中山間地活性化に取り組む団体「元気里山」が、営農継続が難しくなった農地を活用した農薬・化学肥料不使用の茶業を推進している。会社を定年退職したり、子育てが終わったりした後の「セカンドライフ」として農業に携わるメンバーが中心となり、現役時代に培った人脈を基に販路開拓を進める。
磐田市大平の茶園で5月上旬、摘採作業が10人ほどで行われた。陽光を浴びて黄緑色に輝くつややかな新芽の中を、可搬型の摘採機が進む。茶園面積は約3千平方メートル。収穫作業は短期集中で行い、袋井市の工場で製品化する。一番茶に全力投球し、二番茶や秋冬番茶は生産しない。田畑敏昭会長(80)は「無理に生産数量を増やさず、質を重視することで継続してきた」と話す。
同団体が茶栽培に乗り出したきっかけは、茶園の所有者が高齢で作業ができなくなったことだった。畑の荒廃を防ぎ里山の景観を守りたいとの思いから、管理を引き継いだ。
メンバーは茶農家に栽培方法を学び、有機肥料の散布や土壌管理、草取り、収穫といった一連の作業を習得した。2013年に始めた茶業は安定し、製品ブランド「元気里山茶」は、香りや甘みのある味わいが評価されるようになった。
同団体には製造や建設、福祉など多様な業種の経験者が参加している。販路確保が課題となる中、農薬不使用の栽培法をアピールして各方面に営業活動を展開。県立森林公園(浜松市浜名区)の研修・宿泊施設「森の家」や、市内の自然食品店、スーパーなどの店頭にリーフ製品やティーバッグが並ぶようになった。
茶業での経験を生かし、天竜区二俣町大園でイチゴや白菜、トマトなどの栽培にも取り組んでおり、農業を核に集まったメンバーの探究心は尽きない。田畑会長は「今後は若い人に参加してもらう仕組みを考え、里山の畑を継承していきたい」と話す。
(天竜支局・平野慧)
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