大阪府八尾市の市立小学校1年生の女子児童が、遠足でお茶の購入を認めてもらえず熱中症になったとして、両親らが市に損害賠償を求めた裁判が大阪地裁で始まりました。
市側は答弁書で「女子児童の様子を確認し元気そうだったから、お茶を買わない判断をした」などと全面的に争う方針を示していますが、裁判では、学校側がどこまで女子児童の様子を確認できていたかや事前の対策が講じられていたかが争点として注目されます。
■事前に母親は「お茶がなくなったら買わせて」学校側は「よほどの場合は買います」
訴状などによりますと、遠足が行われたのは2022年5月。
この日は未明に雨が降ったものの、朝には雨は上がり最高気温は26度を超え、蒸し暑くなっていました。
小学校に入学したばかりの女子児童は身長が109センチ、体重は14.7キロ(4月時点)でした。体力に自信がなかった女子児童の母親は、遠足前に「しんどいと言ったら迎えにいくので電話をください」「お金(300円)を持たせるのでお茶がなくなったら買い与えてください」などと担任の教諭に申し入れていました。
これに対し、担任は「お母さん、これも経験ですから」と参加を促し、お茶の購入に関しては「よほどの場合は買います」と答えたといいます。
■児童「お茶を買わせて」とお願いも、学校は「お金はだめ」「児童の体調に問題なしと判断」
遠足は、小学校から最寄りの駅まで約25分歩き、電車に乗った後、約30分ほど歩いて公園に到着する道のりを往復する行程でした。公園からの帰りの道のりで、学校側は公園から駅までの間に2回の給水をとったとしています。
駅に到着した際、女子児童はお茶をすべて飲み干したため、担任に「お茶を買わせてほしい」とお願いしたものの、担任は校長らと相談の上、「お金はだめです」と認めなかったといいます。
市の答弁書では、この理由について「児童の様子を確認していたが、体調に問題ないと判断した」としています。
その後、学校の最寄り駅まで電車で移動し、学校に戻る途中「ママを呼んでください」と教諭に伝えたものの、両親に連絡をとることはなかったということです。市の答弁書では「児童は同級生とクイズをしていたが、『疲れたからやめる』といったため、別の教諭が声をかけ児童と手をつないだ。他の児童と同じペースで歩いていた」と当時の状況を説明しています。
学校に到着後、迎えに行った母親は女子児童の異変を感じ、帰宅後にジュースをあげたり、シャワーで体を冷やしたりしたものの38.9℃の高熱があったことから、かかりつけの病院を受診後に救急搬送され、熱中症と診断されたということです。搬送先の病院では点滴を受けて、翌朝に退院しました。
両親らは「熱中症の予防や措置を講じておらず、安全配慮義務を怠った」と主張し、八尾市に対し約220万円の損害賠償を求めています。
両親は取材に対し「同じような思いをする人がいないように学校側に考えてほしくて裁判を起こした。学校側には前時代的な考えに縛られずに、時代にあわせて対応してほしい」と訴えました。
一方、市側は「女子児童の様子を確認し、元気そうだったからお茶を買わない判断をした。参加している児童に熱中症の症状が出た際は、飲料水を購入することを想定していた。帰校後も疲れているような雰囲気はあったものの、熱中症のような様子はなかった」などとして両親らの訴えを退けるよう主張し、全面的に争う姿勢を示しています。
八尾市の教育委員会は取材に対し「裁判に関することなのでお答えできない」とコメントしています。
遠足時の熱中症予防について、大阪府教育委員会によりますと「通常の学校活動の運動指針と同様、積極的な休息や適宜、水分・塩分の補給を行い、長時間の屋外での活動では十分に注意するよう喚起している。(遠足時に限らず)屋外活動においては水分はたくさん持っていくよう呼びかけている」ということです。
ただ、飲料がなくなった場合のお茶などの飲料の購入については、「府として具体的な指示は出していない」といい、「学校ごとに対応が異なる。(教育上の問題があったかなどは)答えられない」としています。
学校活動において熱中症により生徒が救急搬送される事案が増加する中、裁判では、学校側が女子児童の様子や異変をどこまで認識していたかや、熱中症の適切な対策を事前に講じていたかがポイントになりそうです。
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