大海英史
静岡県菊川市は14日、特産の「深蒸し菊川茶」をアジアや欧米に輸出するため、佐川急便(京都市)と提携協定を結んだ。来年度から、世界中の販売業者が見るインターネットサイトで菊川茶を紹介し、佐川急便が商談を支援したり輸送を担ったりする。国内ではお茶の販売や生産が減っており、将来に向けて海外への輸出に本腰を入れる。
協定では、菊川茶をつくる農家や業者の商品を中国のIT大手アリババグループが運営するビジネス向けサイトで紹介する。サイトには約190カ国の販売業者らが登録しており、関心を持った業者との商談をまとめ、商品を輸出する。
佐川急便は、サイトへの出品や英語への翻訳、商談支援、海外への輸送、代金回収の支援を担う。健康志向で日本茶の人気がある欧米のほか、需要が高まっている東南アジアや中国への輸出をねらうという。自治体と輸出の協定を結ぶのは全国で初めてになる。
協定を結んだ佐川急便の森裕一郎執行役員兼東海支店長は「お茶を世界に発信したいと声をかけた。菊川茶の認知度向上に協力していきたい」と話した。長谷川寛彦市長は「何とかしないといけないと訴えたことが(提携に)つながった。190カ国にPRでき、大きな期待と夢を持っている」と述べた。
菊川市内や周辺のお茶は渋みが強いとされてきた。研究の結果、茶葉を長い時間蒸すことで味の良いお茶になり、「深蒸し茶」として特産になった。いれたお茶は濃厚な黄緑色で、豊かな香りとまろやかな味わいを楽しめる。
しかし、国内では2000年代から家庭で日本茶をいれて飲む習慣が少なくなり、消費が減っている。農家も高齢化が進み、栽培面積も減り続けている。
菊川市では1980~90年代の最盛期には約1750ヘクタールだった栽培面積は2020年度には約990ヘクタールに減り、生産者数も3千戸近くから約560戸になった。80億円を超えていた産出額も、23億円に落ち込んでいる。(大海英史)
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