静岡商業高(静岡市葵区)ビジネス探究部が静岡茶の消費拡大を目的に、お茶とともに音を楽しむ新感覚の商品を開発した。ユニークなアイデアで地域の産業振興を目指す取り組みとして評価され、11月の全国高等学校生徒商業研究発表大会で優秀賞を受賞。市内のイベント会場で販売し、好評を博している。
商品名は「Soundrink(サウンドリンク)」。沼津市の影山製茶店の協力で3種類のオリジナル煎茶を製造し、パッケージに工夫を施した。本をイメージした包装に、QRコードを印字したしおりを同梱[どうこん]。スマートフォンでコードを読み取ると、「風鈴」や「朝の安倍川」、「線香花火」など13種類の音声が流れる。一服の場の演出を付加価値として盛り込んだ。
同部は昨年4月に創部。1、2年生計6人の小所帯ながらも、全員で知恵を出し合い、地域振興策の考案、実践にまい進している。創部2年目で全国大会入賞の成果も得た。
音声との組み合わせは部長で情報処理科2年の和泉江里花さん(17)が発案し、五感で楽しめる茶商品開発に着手した。和泉さんは「お茶を飲むことに別の体験を加えれば、ターゲットの幅が広がるとの仮説を立て、一から商品の構想を練っていった」と振り返る。
商品開発と市場調査を進め、5月に呉服町通り(同区)、6月に静岡市歴史博物館(同区)で販売したところ、いずれも完売。購入者へのアンケートでは約3割から「普段お茶に興味を持っていないが購入した」と回答を得た。部員らは「静岡茶への興味は、新しい付加価値によって生み出される」との手応えをつかんだという。
包装などの改良を重ね、10月には静岡茶市場(同区)のイベントにも出店。同市場の内野泰秀社長は「高校生が本気でどうしたらお茶が売れるかを考えてくれた。その姿勢に大きな感銘と刺激を受けた。こうした柔軟なアイデアが茶業界に必要」と話す。
(経済部・垣内健吾)
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