「送別会で花束を渡すのは女性の仕事」「深夜残業は男性の役割」――。あなたの職場には、こうした根拠なく根付いた「謎ルール」はないだろうか。求人検索大手の「Indeed Japan(インディード・ジャパン)」は、全国の働く男女から約5200件に上る「職場でジェンダーギャップを感じた実体験の声」を収集し、『守らなくていい職場の“謎ルール”ブック』としてまとめ、同社公式Webサイトで公開した。
「謎ルール」とは、ジェンダーに関する合理的な根拠のないルールを指す。日本のジェンダーギャップ指数が世界各国に比べ大きく見劣りする中、同社はあらゆる人にとってジェンダーギャップのない働きやすい環境の実現を目指そうと、2022年10月から「#これでいいのか大調査」と題し、働く上でのジェンダーに関する違和感を募集。今回、寄せられた声をもとに、“謎ルール”ブックとしてまとめ、Webサイト上で公開した。
同ブックは「性別による役割の謎ルール」「採用の謎ルール」「育児と働き方の謎ルール」「キャリアの謎ルール」――の4項目で構成し、それぞれについて有識者が謎ルールの解消に向けたアドバイスを提示している。
例えば「性別による役割」では、「入社時に女性社員にのみお茶出しや電話当番の仕事を教育された」「女性は受付、窓口に配置されることが多い。昇進するのは男性ばかり」「女性は車の運転が下手だから外回りの営業をさせてもらえない」――などといった、実際に調査に寄せられた声を紹介している。
こうした合理的根拠を欠く謎ルールを解消するために、「社内の職種を書き出し、性別ではなく『立候補』で役割を決める」などといった有識者によるアドバイスを提示し、実際に職場で活用できる作りになっている。
今回の実態調査にあたり有識者として議論のメンバーに加わった治部れんげ・東京工業大リベラルアーツ研究教育院准教授は「反論するまでもないとそのままにしてしまう、細かいもやもやの積み重ねが男女格差を生み出す」とコメントを寄せ、謎ルール解消に向けたさまざまな提案を行っている。
世界経済フォーラムが公表した22年版のジェンダーギャップ指数ランキングで、日本の総合ランクは対象国146カ国中116位(前回は156カ国中120位)。先進国の中で最低レベル、アジアでは韓国(99位)や中国(102位)、ASEAN諸国より低い結果となっている。
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