「缶入り煎茶」の名前を「お〜いお茶」と改名すると売り上げが大幅に伸びた。保湿ティッシュ「モイスチャーティシュ」は「鼻セレブ」の名に変えて、大成功…。この手の商品名に関する成功例はよく耳にする▼商品名ではないが、このネーミングは成功するか。記録的な暑さが続くスペイン南部のセビリア。連日、四〇度を大きく超えているそうだが、そのセビリアが熱波に世界で初めて、名を付けたそうだ。第一号は「ZOE(ソエ)」。女性の名である▼名なしの権兵衛さんに名前を付ける発想は熱波到来に対する市民の認知度を高めるためらしい。高温という自然災害は体には痛いほど感じるが、台風や地震とは異なり、目には見えにくい。見えにくい熱波に名を付けることで注意喚起が図りやすくなるのだという▼「ソエが来ている」。そう聞けば、なるほど単に熱波と言われるより具体的な脅威として警戒心も強くなるか▼一方、命名に慎重になっているのが世界気象機関。ハリケーンを命名している機関だが、熱波のネーミングについては検討していないそうだ。熱波の定義が困難な上に予測も難しい。そんな理由があると聞く。セビリアの名付け効果を待つとしよう▼それにしても日本も暑い。人は名前で呼んでくれる相手に親しみを感じるそうだが、暑さの方はどう呼ばれようと人に優しくする気はもちろんない。
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