静岡県民にとって身近な新茶の季節です。日本の伝統的な緑茶の健康効果が世界的に注目されています。かぐわしいお茶作りを実際に体験して、お茶の深い魅力を子どもと一緒に味わい尽くしましょう。
まずは茶畑でお茶摘みです。厳しい冬を耐えた茶の木から吹き出したもえぎ色のみずみずしい新芽と若葉を、「一芯二葉」で摘み取ります。飲むお茶には大きく分けて、茶色系と緑系がありますが、摘み取った茶葉が製法次第でどちらにもなるのです。不思議なことに色だけでなく、味も香りも異なるお茶に変身するのです。
世界的には、紅茶などの茶色系が圧倒的に多く飲まれています。今回は、短時間でできるウーロン茶作りに挑戦です。摘み取った葉を1時間程度、日光に当てると、水分が少し抜けてしんなりとします。これを軽くもむと香りが出てきます。さらに室内に2時間ほど広げておいて時々もむと、ふくよかな香りが強くなって、色合いも黒味を帯びてきます。お茶の組織内にある酵素によって、酸化発酵が進むのです。これをさらに強くもみながら一気に加熱して乾燥、火入れすればウーロン茶になります。
緑茶は摘み取ったばかりの葉を蒸すことで、緑色の色素を固定する日本固有の手法で作られます。蒸す時間によって、仕上がりが変化します。お勧めは少し深蒸しの1分程。後は焦げないように熱を加えながら、ひたすらもみ上げます。この工程を家庭で行うための秘密道具がホットプレートです。140度弱にセットして紙の上に乗せるだけで、手もみに使う本格的な「ほいろ」に近づけられます。1~2時間、こねたりもんだりを繰り返し乾燥したら出来上がり。もみ上げた分だけ、うま味が出てきます。
急須で入れた2種類のお茶を白い茶わんに注ぐと、子どもたちが歓声を上げます。風味の違いに驚き、色、味、香りについて五感を発揮します。感動を言葉に表し、子どもの好奇心や感性を醸成するのが、「もっと自然遊び」の流儀です。お茶の醸し出す和みのひとときを家族や仲間で楽しみましょう。
<常葉大名誉教授=藤枝市、イラストも筆者>
からの記事と詳細 ( お茶作りにチャレンジ 同じ葉から2種類の味【もっと自然遊び ちょこっとラボ⑭】|あなたの静岡新聞 - あなたの静岡新聞 )
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