■茂木雅世のお茶でchill out!
新宿駅から小田急線に揺られること1時間あまりで到着する秦野駅。駅から約15分、車を走らせた丹沢山系のふもとに、1953年からお茶を作り続けている高梨茶園がある。7年程前、担当しているラジオ番組の取材で訪れたことをきっかけに、度々足を運んでいる大好きな茶園の一つだ。
約3ヘクタールの広さをもつ高梨茶園のお茶畑は、そのほとんどが山の斜面に位置している。茶畑から望む秦野の街並みの美しさ、山の上からサワサワと駆け抜けていく清らかな風の心地よさ。高梨茶園の皆さんのあたたかい人柄とその手によって育まれるお茶の味わい。
淹れて頂いたお茶を飲み、景色を眺めていると、日々の生活で欠けてしまったものがゆっくりと戻ってくる。
もともとはタバコ栽培を営んでいた初代の伊助さんが、家業の将来のことを考え、お茶の種をまいたことから始まる高梨茶園の歴史は、いつの時代も守り繋いでいくことと挑戦に満ちている。
二代目の弘さんは初代の意思を継いで、茶づくりを独学で学び、地域の茶栽培を盛り上げた。三代目の孝さんは自らのお茶に「丹沢遠山茶」という名前をつけ、お客さんに直接販売する小売の販路を拡大。
そして四代目の晃さんは“手もみ茶の普及”を自らのテーマにしながら、地元企業と様々なコラボレーションして新商品の開発に携わるなど、お茶の可能性を拡げる挑戦を日々続けている。
「急須で淹れるお茶だけを作っていると、どうしても出会う人が限られてしまいます。自分自身が人とお茶が好きということもあり、ワクワクするコラボレーションはこれからもしていきたい」と語る晃さん。
その言葉通り、県内外の様々なところで、高梨茶園のお茶を使用した商品が販売されている。
生チョコ、フィナンシェ、ジェラート、グラノーラ…etc
“はだのブランド”にも認証されているお茶のクラフトビールHANOCHAもその一つだ。
地域を沸騰させよう!をキャッチコピーに、秦野で活動しているココハダLABが企画したHANOCHA。煎茶ゴールデンエールとほうじ茶アンバーエールの2種が販売されているのだが、どちらも驚くほど飲みやすく、和食との相性も良いのが印象的だった。
ビジネスというよりも“人と人との関わり”を大切にしているという晃さん。
遠く離れたドイツの地でも、2016年から高梨茶園のお茶が販売されているが、そのきっかけも足を止めてくれたお客さんとの出会いだったそうだ。
未来へ繋ぐための挑戦を止めない
お茶にもお米のように様々な品種が存在する。高梨茶園では、現在、さえみどり、山の息吹、香駿、やぶきた、はるみどり、ほくめい、おくみどり、おくはるか、べにふうきの9品種を栽培し、それぞれの特徴に合わせ、製茶をしている。
茶葉のベストな摘採期は3日程しかないといい、品種によって異なる。そのため、毎年新茶の季節になると連日、朝から晩まで、家族全員で摘み取りと製茶の作業に明け暮れる。
高梨茶園のお茶を飲むと、その全ての時間や想いが伝わってきて、飲む度に「頑張ろう」と前向きになれるから不思議だ。
家業を継ぐことを悩んだ時期もあったという晃さんだが、お茶を学び始めてからは“お茶の仕事をする方が絶対に幸せ”という気持ちになったそうだ。
「将来、子供達が大きくなった時にお茶をやりたいと思ってもらえるように、今、自分が頑張りたい」とにこやかに語る姿を見ていると、高梨茶園のこれからが楽しみで仕方がない。
高梨茶園→ http://www.takanashi-chaen.com/index.php
茂木雅世 もき まさよ
煎茶道 東阿部流師範・ラジオDJ
2010年よりギャラリーやお店にて急須で淹れるお茶をふるまう活動を開始。現在ではお茶にまつわるモノ・コトの発信、企画を中心にお茶“漬け”の毎日を過ごしている。お茶×音楽ユニットYuge〻のメンバーとしても活動中。
趣味は暮らしの中に取り入れやすいサステナブルアイテムを探求することとバスケ観戦。
Instagram:https://www.instagram.com/moki98per/
Twitter:https://twitter.com/ocharock
からの記事と詳細 ( 未来へ繋ぎたい!4代に渡ってお茶づくりを続ける神奈川県秦野市にある老舗茶園の挑戦| - @DIME )
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