<ニュースあなた発>
「娘の通う小学校の校庭は人工芝。持ち込みが認められているのは水だけで、お茶を持たせてあげたい」。東京都足立区の区立小学校に通う女子児童(10)の保護者から、そんな願いが届いた。お茶を持参した別の児童が教員から「こぼすと人工芝が腐る」と言われたという。調べてみると、そんなことはないようで、区によっては水以外の飲み物も認めていた。(青木孝行)
◆お茶を捨てた話聞き、保護者が疑問
保護者によると、6月上旬、運動会の練習時に、水筒にお茶を入れてきた児童が、担任教員から「お茶をこぼすと人工芝が腐って変色する」と中身を捨てさせられ、水道水を入れて練習に参加した。保護者は帰宅した娘からこの出来事を聞き、「そこまで徹底する必要があるのか」と憤る。この区立小の校長は「水筒の中身は水がルールだが、保護者から相談があれば応じる」と話す。
足立区では、校庭の土砂が強風でまき散らされるとの近隣住民の苦情を受け、2010年から人工芝の導入が始まった。学校施設の維持管理を担当する中部地区建設課によると、降雨後に水はけが良いこともあって人工芝の校庭が増え、区立小学校69校のうち28校が採用している。
◆人工芝メーカー「懸念はない」
人工芝メーカーは、お茶などをこぼしても製品に悪影響は及ぼさない、との見解だ。
住友ゴム工業(神戸市)の広報部担当者は「糖分を含まない飲料は汚れなど衛生面での懸念はない。だが、取扱説明書には製品の品質を担保するために、分かりやすく水のみと記載している」と説明。「レジャーシートを敷いて汚れないようにしてはどうか」と提案する。
泉州敷物東京支店の担当者も「水以外の飲み物をこぼしても人工芝が劣化することはない。ほとんどの汚れはデッキブラシで取り除ける」と話す。
◆対応、同じ区内でもばらばら
人工芝の上での飲食について、区教育委員会は「原則禁止だが、生徒の命に関わることなので、学校ごとの裁量に任せている」とする。区内の別の小学校に聞いてみると「芝の上でなければ、水やお茶を認めている」「児童の体調を優先して、芝の上でお茶を認めている」など、対応はばらばらだ。
都教育庁によると、人工芝の校庭は23区の区立小約120校で採用。飲食について足立区より対応が緩やかな区もあり、品川区教委は「人工芝の上では基本的に水とお茶だが、スポーツドリンクについては各校の裁量で決めている」。渋谷区教委は「人工芝の上での飲料物に制限はない。スポーツドリンクも認めている」という。
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