東日本大震災で被災した宮城県女川町の民有地で「北限のオリーブ」を栽培する石巻市北境の農業法人ソーシオが、オリーブの葉を使ってお茶を開発した。「地域に新たな産業をおこす」との願いを込め、津波跡地を活用した特産品を目指す。
ソーシオは女川町内3カ所の計約2ヘクタールで4種類、1300本のオリーブの木を育てている。お茶は芽の出る力が強く、葉がよく茂る品種「ネバディロブランコ」を原料に使用。新芽を摘み取って蒸し、冷却、葉をもむ「揉捻(じゅうねん)」、乾燥などを経て6月中旬に完成させた。
商品はティーバッグ式で5個入り680円。6月25日から市内の道の駅「上品(じょうぼん)の郷」で販売している。抗酸化作用が期待される高濃度のポリフェノールを含み、程よい苦みがあるすっきりした飲み口が特徴だ。
茶葉は麺やピザ生地に練り込んだり、お菓子や煮込み料理に使えたりすることから、食材としての出荷も見込む。
栽培地のうち1050本が育つ女川町御前浜のオリーブ畑は元々、複数の住民が田畑として利用。震災の津波被害を受けて造成後、放置されていた。ソーシオの阿部栄三郎社長(69)がオリーブの特産品としての可能性に着目し、「新たな産業を生み、若い人に引き継ぐため土地を使わせてほしい」と地権者らに依頼した。
橋渡し役となった御前浜地区の東海進行政区長(66)は「放っておけば荒れ地になるだけ。町に産業ができればと思い、住民の許可を得た。特産品に成長してほしい」と語る。
ソーシオは2019年1月の設立。オリーブ事業のほか、コケの栽培やドローンを活用した肥料散布を展開している。
今後はお茶の取扱店舗を増やすほか、インターネット販売もする予定。阿部社長は「自治体の協力が得られれば、近隣の被災した公有地を生かしてオリーブ畑を広げたい」と話す。
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