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Sunday, May 26, 2024

静岡島田“お茶産地守りたい!” 低温でうまみ抽出 ボトリングティーで海外展開も - nhk.or.jp

sagutgu.blogspot.com

日本一のお茶の生産量を誇る静岡県。ことしも新茶の時期を迎えました。お茶農家が減っている中山間地のお茶どころを守ろうと、島田市の製茶会社は、高級茶葉を使ったボトリングティーをブランド化し、国内外への展開を図っています。「お茶の市場を変えたい」というこのお茶。どんな狙いなんでしょうか。

日本茶鑑定士のレシピ

創業67年の島田市の製茶会社。年間約10トンのお茶を取り扱っています。毎年、この時期は、新茶の出来栄えを見極め、味を決めるいわゆる“レシピづくり”に追われるそうです。

3代目の小松幸哉さんは、日本茶鑑定士。全国の鑑定士の団体の代表も務めています。

3代目の小松幸哉さん

(小松幸哉さん)「うまみを出すために湯冷ましして飲むお茶の文化は日本だけです。繊細な日本人に合う飲み物として根づいています。味も感じ方や好みなど人によってさまざまで、客観的にどんな掛け合わせにするのかは、鑑定士としての経験しかありません」

「荒茶」を7つにわけて掛け合わせる

5月のこの日、製茶室では、静岡県内の生産者などから取り寄せた「荒茶」(あらちゃ)を大きさごとに7種類にわけていした。

ふるいで選別しています

一番小さいのが「細」(ほそ)。最も大きなものは「棒」(ぼう)、茎とも呼んでいます。主に製茶で使われるのは、やや小さめの「芽茶」(めちゃ)や「頭」(かしら)と呼ばれる部分だそうです。

そして香りづけするのが「火入れ」。芽茶30キロの場合、110度前後で約30分かけて火を入れるそうです。

お茶の鑑定士“レシピづくり”

お茶の専門店やホテル、それに冠婚葬祭用など、顧客のニーズにあわせて茶葉をブレンドする“レシピづくり”が鑑定士の大事な仕事だそうです。産地や出来栄えをもとに、どの生産者の茶を使うのか、葉の部位、火入れの時間などを決めていきます。

日本一のお茶どころ 減る農家

「荒茶」の2023年の静岡県の生産量は、2万7200トンと全国1位。しかし県内の生産量は減り続け、お茶農家の数は2020年には5800軒余りと、この15年で3分の1にまで減っています。県は、高齢化と担い手不足が主な要因だとしています。

島田市内のお茶畑

(小松幸哉さん)「そもそもは中山間地で作られたお茶は、今では中山間地と平地で二極化しています。平地はペットボトルのドリンクの原料として大量生産されて需要がある一方、中山間地の昔ながらの高級なお茶が廃れるのではないかと危惧しています。本来の茶業を残さないといけないんです」

“中山間地の茶を守る” ボトリングティー

そこで生まれたのがボトリングティー。高級茶をいつでも気軽に味わって欲しいと2016年から手がけ始めました。

ブランド化を進めたのが4代目の小松元気さん。家業を引き継ぐため東京から戻ってきました。

4代目の小松元気さん

(小松元気さん)「ボトリングティーは、お茶の多様性を守るという意味で日本のお茶市場を変えられるものだと思っています。高級なお茶として味わいながらたしなむ。お酒やワインのように楽しむことで、生産者や産地への思いに浸ってもらいたいと思っています」

3つのこだわり

ボトリングティーは製法にこだわっているといいます。大切な要素は3つ。1つは殺菌方法で、加熱せずにフィルターでろ過するそうです。

抽出の様子(画像提供 小松元気さん)

(小松元気さん)「フィルターを使う方法は、生ワインや生原酒でも使われています。透明感ある色合いと深みが違います。生のお茶の風合いが残るんです」

こだわりのもう一つは水。使っている大井川水系の水は、南アルプスからの水が地層で自然ろ過されているそう。この水を処理して超軟水にしています。硬度を示す数値は1リットル当たり1ミリグラム以下だということです。

研究用の茶畑で栽培(画像提供 小松元気さん)

そして最後は原料。使用しているのは、地元島田市などの高品質なもの、通常の1.5倍から2倍の量の茶葉から低温で抽出しているそうです。

“しこう品として復活させたい”

小松さんは、後継者たちがビジネスプランを競う中小企業庁が開催する全国大会「アトツギ甲子園」にも静岡県代表として出場し、日本の落ち込む茶業を復興させたいとボトリングティーの可能性をPRしました。

画像提供 中小企業庁

(小松元気さん)「清涼飲料水として安く飲むものとされる今のお茶の概念を変えるため、ワインやウイスキーに負けないものにしたいと考えています。ノンアルコール市場や日本食の市場などをターゲットに国内外に発信し、喉を潤すものからしこう品として復活させたい」

海外展開も

ボトリングティーは、ホテルや大手百貨店だけでなく、ドイツの日本料理店にも展開しています。将来は、日本食だけでなく、フレンチのレストランにも広げていきたいとしています。

(小松元気さん)「いいお茶やおもしろいお茶を作る人が減っています。いいお茶は平安時代から続く日本の文化と伝統、それに生活習慣です。谷が深く、水がいい静岡のお茶を最大限生かし、残していきたいと考えています」

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