静岡県西部で今月下旬以降、一番茶生産が本格化する。山間部で香り高い茶を作る浜松市天竜区では8日、天竜茶振興協会(事務局・JA遠州中央)の総代会が開かれ、関係者が新茶期に向けて決意を新たにした。各産地では、11月に同市で初開催される全国お茶まつりに向けた準備も進む。
総代会では、消費拡大に向けた催事出店や有機栽培普及などを盛り込んだ新年度事業計画を決定した。昨今は肥料代や製茶工程で必要となる重油代の高騰が茶工場の収益を圧迫する状況が続き、農家の高齢化も課題となっている。平賀義行会長は「茶園を新たに造成するなど前向きな動きもある。厳しい状況が続くが、順調に生育して生産現場にとって良い新茶期となることを願う」と話した。
今年は天竜や掛川、磐田など各産地の収穫時期は前年よりやや遅くなる見通しで、茶工場は摘採開始の時期を見極めている。
全国お茶まつりの一環で、8月に静岡市で開かれる全国茶品評会への茶農家の関心は高い。浜松市天竜区春野町で茶園を営み、農林水産大臣賞受賞経験もある栗崎園では、前年より多く出品することを検討しているという。同まつりの本県開催は9年ぶり。浜松市や県などと実行委員会を組織する県茶業会議所の伊藤智尚専務理事は「浜松をはじめとする各地の茶業者が参加し、茶の魅力をアピールする場としてほしい」と話す。
(天竜支局・平野慧)
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