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Sunday, December 3, 2023

会社勤めのかたわら至極の一杯提供 全国競技大会で県内最高の七段:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル

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 岡山県倉敷市の筒井慶喜さん(40)は、JFEグループの企業で製鉄原料の品質管理や技術開発に携わる会社員ながら、9月にあった第70回全国茶審査技術競技大会で、岡山県内で最高段位となる七段を獲得した茶師でもある。

 大会は毎年、全国の若手茶業者が一堂に会し、日本茶の鑑定力を競い合う。通称「闘茶会」。参加者の多くが問屋や生産者という中で、異色の存在だ。

 茶どころの長崎県東彼杵(ひがしそのぎ)郡出身。新茶の季節はのぼりがはためき、茶市が立つ。全国どこもそうだろうと思い込んでいた。

 茶師を目指したきっかけは同い年の妻、美穂さん抜きには語れない。香川県出身で、急須でお茶をいれる習慣のない家庭で育ったという美穂さんが、長崎の母がいれたお茶のおいしさに感動する様子を見て、その魅力を再認識した。

 自身も岡山で暮らすうちにお茶から遠ざかっていたが、2016年ごろ、東京の日本茶カフェで、氷水で浸出したお茶を口に含んで衝撃を受けた。「うまみがギュギュッと凝縮された感じ」。だし汁を思わせる未知の味わいだった。

 以来、全国からお茶を取り寄せて鑑定力を磨いた。通信講座を受け、17年には日本茶インストラクターの資格も取った。

 さらに、競技大会に出るため中四国の若手茶農家に呼びかけ「瀬戸内茶業青年団」を結成した。その代表として大会に出場すると、18年に2段、22年に6段、今年は7段を手にした。

 夫妻は20年夏、岡山市に日本茶専門店「葉づき」を開店。自身も会社勤めのかたわら隔週日曜日に店に立つ。全国からえりすぐった銘柄を、味に深みを出すため湯温を70度、80度、100度の3段階に変えながら抽出し、極上の1杯を提供する。わずか5平方メートルの店。客は店先のテーブルで憩いのひとときを過ごす。

 最高位の10段が目標。「同じお茶を出すのでも眼力を認められた人間が勧めた1杯の方が、説得力があるでしょう?」。まず岡山の人にお茶の本当のうまさを広めたいと考えている。(原口晋也)

     ◇

 〈全国茶審査技術競技大会〉日本茶の製造や販売などの若手従事者でつくる「全国茶業連合青年団」が主催。茶葉の外観や香りで産地を特定したり、飲んで産地を当てたりして鑑識眼を競う。6段までは一定の正答率をクリアすれば取得でき、7段以上はその前段の段位を持っていることも条件。45歳が出場できる上限。

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