
佐賀県嬉野市の酪農家・中島大貴さん(34)は今年、「牛乳出し(ミルクブリュー)コーヒー」の専門店を全国に先駆けて市内に開業した。一般的な抽出方法の「水出しコーヒー(コールドブリュー)」と異なり、牛乳の主張が強くコーヒーの風味が加わるような味わいが特長だ。産地や製造方法にこだわり牛乳出しコーヒーに合う牛乳を選ぶという、新たな消費スタイルを目指している。(木村隼人)
農水省によると、ここ10年の飲料向け生乳の消費仕向け量は400万トン前後と横ばい。だが1990年代に比べると、約100万トン減った。一方で2020年のコーヒー国内消費仕向け量は、20年前に比べ約3万トン増えて約43万トンとなった(全日本コーヒー協会調べ)。 中島さんは「コーヒーはブルーマウンテンなど産地にこだわる消費者が多いことが今の流行だ。一方で、牛乳を産地や製造方法で選ぶ消費者は少ない」と受け止める。 牛乳の消費減退が続く状況を、需要が高まるコーヒーを活用して打開するため「牛乳出しコーヒー」に着目した。19年に福岡市にあるカフェと協力し、百貨店のフェアで「牛乳出しコーヒー」を試験販売した。参加した他店からも好評で、フェアで売り上げトップクラスとなるなど手応えをつかみ、20年から本格的に事業化に乗り出した。
ネット販売も好調
店舗では「ミルクブリュー(アイス)」(店内価格612円)や、自宅で作ってもらうためのコーヒーバッグなどを販売する。中島さんは「店舗をミルクブリューの発信や実際に体験してもらう拠点にしたい」と展望する。市街地にあり、コロナ禍後には観光客などの来店にも期待を寄せる。インターネット交流サイト(SNS)でPRすることで、ネット販売も好調だ。 中島さんによると「牛乳出しコーヒー」は、(1)加工乳ではない(2)低温殺菌(3)ノンホモ(脂肪均一化処理をしていない)――という3要素を持つ牛乳が抽出に適する。「ノンホモ牛乳は牧場などに行かないと入手困難。コーヒーに合う牛乳を選ぶため、消費者を産地に誘導できれば理想的」と中島さん。 今後は、全国の酪農家やコーヒー専門店などに「牛乳出しコーヒー」のPRを強化して、提供店の拡大を目指す考えだ。10年以内に「水出し」と同等となる市場規模に成長することを目標に掲げる。
日本農業新聞
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