小川珈琲はドリップコーヒーの個包装パッケージに紙素材を使用した商品を発売。重点施策の一つであるエシカル強化の一環で、従来のフィルムよりプラスチック使用量を50%削減して環境負荷軽減に貢献していく。
対象商品は「ASUE Fairtrade Coffee(アスエ フェアトレード コーヒー ドリップコーヒー)」の「Active(アクティブ)」(5袋)と「Relax(リラックス)」(5袋)の2品。「ASUE」はすでに、2品を詰め合わせた20袋商品が一部ネット通販・生協宅配サービス・小川珈琲オンラインショップで20年5月から発売されている。
この秋冬、一般小売店への導入に向けて5袋サイズを新発売するタイミングで20袋商品も合わせてパッケージを刷新した。個包装の外側素材をプラスチックから紙に変更。アルミ蒸着は維持させることで、品質は従来どおりに担保する。
村上祐一総合開発部長は、コーヒー市場におけるエシカル購買は昨年の高まりの反動でやや伸びが鈍化しているように見えるが、消費者の認知や関心は着実に高まっており、引き続き活動の柱の一つとしてエシカル商品やブランディングに取り組む考えを示す。
エシカル商品を代表する同社の有機珈琲シリーズの有機レギュラーコーヒー市場におけるシェアは70%台から80%台に上昇。ただしこの結果は、有機レギュラーコーヒー市場が広がらない中で自社の有機珈琲アイテムが堅調に推移したことによるものとなる。したがって市場拡大に向けて発信を強化していく。
「エシカル商品については関心の高まりに留まり、購買との間にはまだ壁があるという話も聞かれる。その壁を乗り越えてもらうべく、プロモーションや商品を通じてあらゆる面からコーヒーがもつエシカルな要素を伝えて購買につなげていく」と述べる。
この考えの下、5月13日から7月26日にかけて「コーヒーの詩」と題したエシカルキャンペーンを実施。「美味しいコーヒーを消費者に届けること、誰もが選ぶだけで簡単に世界に貢献できるコーヒーがあることを、少しでも多くの人に知ってほしい」との思いを込めYouTubeで「コーヒーの詩」朗読動画配信を行っている。
これは、前述の「ASUE Fairtrade Coffee」に「バードフレンドリー ®コーヒー」と「オランウータンコーヒー」を加えた3種のエシカルコーヒーを題材に詩人の文月悠光さんが詩を編み、それを夏木マリさんが朗読する内容となっている。
商品面では、250g以下の小川珈琲店有機珈琲シリーズに加えて、300g以上の容量帯の市場に向けてエシカルや情緒的価値を前面に押し出した「KAORI」シリーズを提案していく。
「KAORI」シリーズは、前身の「香り華やぐ珈琲粉300g」を刷新した「カオリコーヒー粉300g」と有機JAS認証コーヒーの「カオリオーガニックコーヒー粉300g」の2品をラインアップ。市場平均よりやや高めの想定売価を見込み3月から発売している。
「春夏の状況は、競争の激しい大袋商品ということもあり配荷は想定よりも進んでいないが、グラム単価が抑えられたカテゴリーでの付加価値訴求に秋冬も引き続きチャレンジしていく」という。
前年比20%増前後で好調に推移している「春」「夏」「秋」「冬」の四季の情緒的価値を前面に押し出した期間限定コーヒー(180g粉・ドリップコーヒー10杯分)も引き続き強化していく。
同社のドリップコーヒーは、昨年発売開始した期間限定コーヒー(10杯分)がプラスオンとなり二ケタ増で推移している。
今期(8月期)、期間限定コーヒーやドリップコーヒー以上に高い伸びを見せているのは、豆商品群。前期も二ケタ増を記録したことから「豆商品は完全にベースアップしたととらえている。20年にかなり伸長し21年も底堅く伸長していることから、コーヒーを楽しむシーンやニーズが明らかに変わってきている」と見ている。
エシカル・情緒的価値に加えて、地域とのつながりにも着目する。秋口には、京ブランド食品認定・京都吟味百撰の「京珈琲ドリップコーヒー」をリニューアル発売する。「エリア戦略をとられる流通企業さまにギフトとしても取り扱っていただけるように磨きをかけた」という。
SNSなどでは、同社直営店の旗艦店となる新業態「OGAWA COFFEE LABORATORY(ラボラトリー)」による発信をECと連動させて強化し、家庭用商品では取り切れない新規顧客の獲得を図っていく。
7月30日には、小田急電鉄の商業空間「reload(リロード)」(東京都世田谷区・下北沢)にラボラトリー2号店がオープン。これに先立ちラボラトリー専用のECサイトを開設した。
2号店は「1号店の焼き直しではなく、実験室をコンセプトにした新しいコミュニケーションとして、約40種類のコーヒー器具を用意しお客さま自ら焙煎・粉砕・抽出ができるようにした」と胸を張る。
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