LOAD&ROADは、スマートフォンと連携してユーザーごとにパーソナライズしたお茶を楽しめる「Teploティーポット」(以下、Teplo)を8月に発売した。Teploは内蔵するセンサーで部屋の温度や湿度、照度、騒音、さらにはユーザーの体温や脈拍を計測することでユーザーの体調や気分を分析し、その人に合った条件でお茶を抽出してくれるというもの。Teploはどのようなやり方でパーソナライズしたお茶の抽出を実現しているのか、今後LOAD&ROADは何を実現しようとしているのかなどについて、LOAD&ROAD CEOの河野辺和典氏に聞いた。
LOAD&ROAD CEOの河野辺和典氏と、8月に一般販売を開始した「Teploティーポット」(実勢価格2万5000円)。下には試作機の変遷が並ぶ
お茶の入れ方の“最適化”に可能性を感じた
Teplo開発のきっかけは、河野辺氏が米ボストンの大学院に留学時していた2015年のことだったという。寒い冬を過ごすのにホットコーヒーが欠かせなかったのだが、ある日体調が優れないことから茶を飲んでみたと河野辺氏は話す。
「そこでお茶の良さに気付いた。もっとおいしく飲みたいと考えてみたところ、お茶の量や水の量、抽出温度、抽出時間など、数値制御できる部分が多いにもかかわらず、個人の経験や勘によって入れられているということが分かった。ならそれを数値化して自動化できる機械があればいいのではないかと思った」と明かした。
Teploはスマートフォンアプリと連携することでパーソナライズしたお茶(紅茶、緑茶、ハーブティーなど)を入れられるスマートティーポットだ。ポット内にお水と茶葉をセットし、アプリで飲みたいお茶の種類を選択してから、本体前面のセンサーに指を置く。すると、その人の体温と脈拍に加えてその部屋の室温や湿度、明るさ、騒音レベルをセンシングし、室内環境やその人の気分に合わせてお茶を抽出する。
Teploはスマートフォンアプリと連携してお茶を入れるスマートティーポットだ
Teploアプリの画面。「Brew」メニューから茶葉を選び、「Brew」を押して次に進む
お茶を飲むことで「なりたい気分」を選ぶ
センサーに指を置いてユーザーの体温や脈拍などを計測し、その人の気分を分析する
右側のファンクションボタンを押すと抽出がスタートする
ティーポット内にセットするインフューザー(茶こし)はポットのフタにぶら下がるスタイルだ。通常はインフューザーのフタの重みで水に浸からないようになっており、設定温度になったら本体側面に配置したモーターが磁力でインフューザーを回転させ、必要な時間だけ茶葉を漬けて抽出する仕組みになっている。
ティーポット内にセットしたインフューザーが回転することで、必要な時間だけ茶葉を水に漬ける仕組みになっている
緑茶や紅茶だけでなく、コーヒーにもそれぞれに適した抽出温度があると言われており、こだわりのある人向けに1度単位で温度をコントロールできる電気ケトルなども市販されている。しかし、ペーパーフィルターなどを用いてすぐに抽出できるコーヒーとは違って、茶葉からうま味が抽出されるまで時間がかかるお茶の場合、抽出中に湯温が下がってしまう。
河野辺氏は「そこが今までの入れ方と違うところだ。急須で4~5分抽出すると温度がどうしても5度程度は下がる。Teploは温度を保ちながら抽出するため、味も香りがしっかり出る。今までとは違う方法だが、メリットが結構ある」と説明した。
インフューザーは金属製のメッシュフィルターを用いた、オーソドックスな茶こしに近いスタイルだが、ここに至るまでには紆余曲折があったという。
「最初の試作機では、下でインフューザーが回転する機構だった。それだとインフューザーが小さくなってしまうため、茶葉を広げておいしいお茶を出したいと考え、インフューザーを大きくして上の方で回転させるように改善していった」
最初期の試作機。アルミフレームの周りにヒーターと断熱材、サーミスター(温度計)を巻き付けて、温度制御しながら抽出するという仕組みだった
インフューザーを水面上に配置して回転させるというスタイルになったものの、当初は透明のアクリルケースの上にメッシュフィルターを配置するデザイン、アクリルケースの一部にメッシュフィルターを配置するデザインと変化していった。
当初はお湯の中で広がっていく茶葉の様子を見せたいという思いから透明のインフューザーを検討していた(写真左、写真中央)が、最終的にはオーソドックスな茶こしのようなスタイルに落ち着いた(写真右)
アクリルを用いた初期のインフューザーは「使っていくうちに茶渋が付くという問題もあった」
現在のスタイルに近付いたインフューザー
3つめのインフューザー試作でも、一部透明な部分が残されている
その経緯について、「最初は茶葉が広がっていく様子を見せたいという狙いがあって透明にしたが、いざ作ってみると、湯気で中が見えなくなってしまう(笑)。だとしたら透明にする必要はないので、利便性を追求していくことにした。透明のメッシュを作ったりもしたが、お茶を入れると茶渋が付いてしまい、経時変化ですごく見栄えが悪くなってしまうという問題もあった。当たり前だが、使い続けないと気付かないことだった」と話した。
インフューザーを回転させるのではなく、上下させる機構も検討したが、「お茶を入れる自由度や、急須を返す動作がを再現できる機構が回転機構だった。回転の速さを変えられるだけでなく、揺らしたり、漬けたままにしたりといった動作の自由度が高いので、回転機構を採用した」という。
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November 02, 2020 at 07:00AM
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急須を使わずおいしいお茶を--IoTで入れ方を最適化する「Teploティーポット」CEOインタビュー - CNET Japan
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