外国人が受験する日本語試験の合格証が偽造され、SNSを通じて日本国内で大量に販売されていることがわかった。日本語試験を巡っては、ベトナムで留学希望者による替え玉受験が相次いでいるが、偽物の合格証を購入するのは、すでに来日している留学生が多いという。日本での就職などに使われているとみられ、試験団体は対策を検討している。
■留学生「就職のため購入」
■「依頼、月30件」
「約5年前から、数え切れないほど売りさばいてきた。月30件は依頼がある」
フェイスブック(FB)のベトナム語のページに「広告」を出して注文を受け付けているベトナム人の女が、読売新聞の電話取材に実態を明かした。
偽造されているのは、公益財団法人・日本国際教育支援協会(東京)が国内で実施する「日本語能力試験(JLPT)」の合格を証明する「認定書」。日本語試験として最も信頼性が高いとされ、難易度が高い順に「N1~N5」の5段階の試験がある。
女によると、偽認定書の客の多くは留学生。日本の企業が事務職などの採用条件にする「N2」の注文が多い。アルバイトの採用などに有利とされる「N4」も需要が高いという。
他にもFBで偽認定書を販売する業者は多数ある。多くは製造拠点が中国とされ、女も「中国在住」と説明。依頼者が名前や住所、顔写真などを送れば、1週間程度で中国から国際郵便で現物を届けている。
代金は1枚8000円。以前は1万5000円だったが、同業者が増えて値下げしたという。女は「実際に作るのは中国人の仲間。本物そっくりなのが好評で、客が友人を紹介してくれることもある」と言う。
■見抜くのは困難
日本語試験は海外でも実施されており、留学希望者の査証(ビザ)申請などに必要なのは、JLPTで最も簡単なN5。他に日本の教材会社などが行う同水準の試験も認められているが、ベトナムでは一部が替え玉などで不正合格し、就労目的の「偽装留学」に悪用されているとされる。
一方、来日後も日本語試験を受ける留学生は多い。卒業後に日本で働くことを希望する場合、企業などから認定書の提示を求められることが多いためだ。
入国前審査では、日本政府が試験団体に名前を照会して偽物を見破ることも可能だが、企業は外見で確認するしかないという。ある人材派遣会社の代表は「本物であるという前提なので、精巧であれば見抜くのは困難だ」と話す。
■逮捕者も
中国から届く偽認定書が、空港で発見されるケースも相次いでいる。
関空では昨年2月、税関職員が郵便物の中から認定書を発見。大阪府警が、受取人になっていた大阪市内のベトナム人の女(25)を有印公文書偽造容疑で逮捕した。
女は専門学校に在籍していた元留学生で、N2を何度か受験したが、不合格が続き、FBで偽の認定書を注文。調べに「日本の会社に就職するために必要だった」と話したという。
愛知県警も同8~10月、ベトナム人ら計6人を逮捕。このうち技能実習生の男(23)は「N4に合格すれば実習期間を延長できると聞いたが、試験に受からなかった」と供述。実際に偽の認定書を職場に提出していたという。
昨年4月に新設された在留資格「特定技能」でも、N4以上が資格取得の要件の一つになっている。
偽認定書が広まると、不正をしていない外国人にも悪影響が出かねない。日本の電機メーカーに就職するためにN2を取得した大阪府内のベトナム人女性(37)は「必死で勉強したのに疑われかねず、イメージが悪くなる。不正ができないよう早く対策を取ってほしい」と訴える。
試験を行う日本国際教育支援協会は「認定書が偽造され、企業などで使われると試験の信頼性が損なわれる。再発防止策を講じる」としている。
2020-01-26 02:43:32Z
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