伊藤園は現在、世界30ヵ国以上で緑茶(リーフ)と飲料(ドリンク)ビジネスを展開し国内外でお茶に特化した唯一無二の企業を目指していく。
12月に決算発表した本庄大介社長は「リーフ・ドリンクともに世界各国で飲まれているお茶全てに関わっている会社にしたい。そのような会社は海外にも国内にもない」と語った。
海外グループ会社の売上高は、前期(4月期)が381億6800万円、5~10月の今上期が183億3600万円。
近年の傾向としては米国にある孫会社でコーヒー豆の製造・販売を手掛けるディスタントランズトレーディング(DLTC社)の不振が足を引っ張り海外事業全体では足踏み状態が続いているが、本丸の「お~いお茶」の販売は好調だ。
海外の「お~いお茶」の販売は上期、28%増となった北米エリアと20%増となった中国エリアが牽引して全体で13%増となった。
海外事業の主要展開エリアは北米・中国・東南アジア。「最近では中東やアフリカに試験的に商品を流通させているが、やはり一番大きな市場である北米と中国にさらに注力していく」。
海外商品は「お~いお茶」以外にも、むぎ茶、ジャスミン茶、紅茶飲料などを幅広くラインアップ。有糖の紅茶飲料も取り揃えている中、「お~いお茶」は今後も無糖を貫いていく。
渡辺實取締役副社長は「無糖というのは特性があり、所得がある程度増えないと広がらない。アジアでは所得層にあわせてエリアに特化させている。例えばインドネシアではジャカルタで集中的に展開している」と説明した。
既存の展開エリアでは無糖構成比が上昇。北米伊藤園では14年に46・6%だったのが18年に57・6%へ、伊藤園(上海)では14年に49・4%だったのが18年に87・9%へとそれぞれ高まった。
直近では北米エリアで大手スーパー2800店舗に「お~いお茶」の新規導入が決定。「アイテム数が多過ぎるとブランドが浸透せず育っていかない」との考えの下、アイテム数を絞りながら導入拡大を図っていく。
リーフは、アジア・ヨーロッパ・北米のエリアごとで異なる戦略を展開している。
「米国ではティーバッグとパウダーを強化している。メインはティーバッグで、嗜好が有機のほうへ変わってきており原材料の手当てが大きな課題になってくる。これまで日本の規格に合わせるのを基本にしていたが、今後は海外のリーフのあり方をもう一度摸索し、米国は有機にシフトしていかなければならない」と述べた。
海外事業全体ではDLTC社の立て直しも課題となる。
DLTC社の事業の柱は、外食・小売店へのコーヒー豆(焙煎豆・生豆)の卸売で、今上期は大口顧客が他企業に買収されたことで取引口座を失い海外事業の足を引っ張った。
今後については「DLTC社はブランドが弱く原料卸とPBが大きなウェートを占めていることから大口顧客を失ったことは大きい。コスタリカに農園を持ち、現在ブランドづくりに取り組んでいるが、今後どのように活かしていくかを検討し何とかしなくてはといけない」と危機感を募らせた。
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